自前洗濯 vs リネンサービス外注:日本の小規模運営者にとって本当に得なのはどちらか
目次
どの運営者もいつかはこの判断に直面する。シーツやタオルを自前で洗い続けるか、それともリネンサービスに外注するか。うちの2物件でも、実際に数字を出して検討するまでずっと結論を先延ばしにしていた。そして出た答えは意外なものだった——2物件で答えが違ったし、最初に予想していた答えとも違った。
まとめ
- 自前洗濯は1回あたりのコストは安く見えるが、機械の摩耗、光熱費の増加、スタッフの作業時間、予備在庫の保管スペースといったコストが隠れている。自社のコストモデルでは、人件費・光熱費・減価償却・保管コストを加えると、「洗剤と電気代だけ」の見積もりより実質のコストがかなり高くなった。
- 外注のリネンサービスは通常、アイテム単位(シーツ1枚、タオル1枚ごと)またはターンオーバー単位の定額制で課金され、コスト予測はしやすくなる一方、配送・回収のスケジュールが清掃業務に組み込まれる依存関係が生まれる。
- 1物件あたり月15〜20件程度を下回る場合は、清掃業務の中で労力を吸収できるなら自前洗濯の方が安くなりやすい。それを上回ると、機械の買い替え・保管スペース・光熱費・清掃スタッフの時間まで含めて外注が同等または有利になりやすい。うちの物件では損益分岐点はおおむね月15〜20件から始まったが、これはあくまで自社の実感値であり、業者の見積もり(ターンオーバー1回あたりの単価+集荷・配送費)と、自前の人件費・光熱費・機械の減価償却・保管コストを比較して自分で計算する必要がある。
- 日本のリネン業者から比較可能な見積もりを取るのは難しい。1枚単位、キログラム単位、月額固定制など料金体系がバラバラなため、比較する前にターンオーバー1回あたりのコストに正規化する必要がある。
- タオルなど小物は自前、シーツや布団カバーは外注というハイブリッド型は、複数物件を運営する事業者にとって現実的な選択肢の一つだ。手間とスペースを取るアイテムを業者に切り出しつつ、即対応が必要なアイテムは自社でコントロールできる。
自前洗濯の実際のコストはいくらか?
自前洗濯のコストは、洗剤代と電気代の表面上の金額よりも高くつく。機械の減価償却、水道・ガス代、予備在庫の仕分け・洗濯・乾燥・畳み・補充にかかるスタッフの作業時間まで含めるとそうなる。自分で清掃も行っている単独運営者の場合、「あと1回洗うだけ」の限界コストはごくわずかに感じられるため見落としやすいが、それを毎月・全ターンオーバー分積み上げると、パートタイムの仕事1つ分ほどの時間になる。
見落とされがちなポイントは以下の通り。
- 機械の摩耗・買い替え:民泊運営で毎日使う家庭用機は、通常の家庭での使用より寿命が短いと見ておくべきだ。日本の長期使用製品安全表示制度でも、標準的な家庭使用の条件を超える使い方をすると設計上の使用期間が短くなる可能性があると注意喚起されている。自社では保守的な社内前提として3〜5年での買い替えを見込んでいるが、これはあくまで内部的な想定であり、適切にメンテナンスされた業務用機の一般的な寿命(もっと長いことが多い)とは別物だ。
- 光熱費の増加:タオルやバスマットなどについて自社の衛生方針を満たすために高温洗浄や除菌モードを使う場合、通常の家庭用の洗濯より電気・ガス代がかかる。これは自ら設定する基準の問題であり、一般的なリネンに一律に課される法的義務ではない。
- 保管スペース:即日ターンオーバーに対応するには、洗濯待ちの状態でも足りるだけの予備リネンが必要だ。自社の運用では、稼働中の1セット・洗濯中/搬送中の1セット・清潔な予備の1セットの、合計およそ3セット分(3PAR)を目安にしている。オフサイトでの回転が遅い場合はさらに多く必要になることもある。この在庫は収益を生まないクローゼットや倉庫スペースを必要とする。
- スタッフの作業時間:自社の運用では、1回のターンオーバーあたり、仕分け・洗濯・乾燥・畳み・補充で機械の稼働時間を除いておよそ30〜60分の実働時間がかかる。これは本来の部屋の清掃作業に上乗せされる形で、自分か清掃スタッフが担うことになる。
これらはどれも1回あたりの費用には表れないため、自前洗濯は目先では安く見え、四半期の終わりに振り返ると高くついていた、ということが起こりやすい。
どんな場合に外注が有利になるか?
外注が有利になるのは、業者のアイテム単価をターンオーバー件数分掛け合わせた総額が、自前運用のフルコストを下回る規模になったときだ。うちの物件では損益分岐点はおおむね月15〜20件のターンオーバーから始まったが、これはあくまで自社の実感値であり、公表されたベンチマークではない。地域や、すでに支払っている清掃スタッフの人件費によっても変わる。業者の見積もり(ターンオーバー1回あたりの単価+集荷・配送費)と、自前の人件費・光熱費・機械の減価償却・保管コストを比較して、自分で計算してみてほしい。この件数を下回ると、業者側の集荷・配送にかかる固定コストが、すでに保有している洗濯機と比べて割高になりやすい。
外注は純粋なコスト比較には表れないメリットもある。
- 品質の安定性:業務用の高温洗浄やプレス仕上げは、家庭用洗濯機よりも白い布類を白く保ち、タオルの柔らかさを長持ちさせやすい。ゲストが撮る写真やレビューに直結する部分。
- 設備投資なしでの拡張:4物件目、5物件目を追加する際に、新たな洗濯乾燥機や保管スペースを確保する必要がない。
- 清掃スタッフの時間の確保:清掃チームがターンオーバーの合間に洗濯もこなしている場合、外注によって本来の部屋の清掃に時間を割けるようになる。特に同日連続ターンオーバーが重なる日に効果が大きい。
トレードオフは依存関係が生まれること。ターンオーバーのスケジュールが業者の集荷・配送時間と同期する必要があり、集荷の遅れや失敗はもはや社内問題ではなく、ゲストに直接影響する問題になる。
リネン業者を選ぶ際に何を確認すべきか?
ターンオーバー1回あたりのコストを透明に提示でき、即日ターンオーバーのニーズに対応できる配送スケジュールを持ち、価格表だけでなく実際の洗浄・衛生プロセスを説明できる業者を選ぶべきだ。日本特有の難しさは、業者ごとに料金体系がバラバラなこと。1枚単位、キログラム単位、集荷・配送込みの月額固定制など様々で、実際の部屋あたりのリネン枚数を基準に、すべての見積もりを同じ単位(ターンオーバー1回あたりのコスト)に換算しないと、どれが本当に安いのか判断できない。これは、修繕・リフォーム見積もりの比較でAimitsuが扱っている見積もり正規化の問題と同じだ。合計金額だけでなく内訳を必ず確認し、説明のない諸経費には注意すること。
契約前に確認すべき具体的な質問をいくつか挙げておく。
- 集荷から配送までのリードタイムは即日か、24時間か、48時間か。
- 最低発注量や月間の最低契約条件はあるか。
- 即日の急なターンオーバーが発生した場合、特急料金は発生するか。
- 破損・汚損したアイテムは交換対応か、それとも請求されるのか。
よくある質問
Q: 単独のゲストハウス1軒なら、洗濯は外注した方が安いか?
ターンオーバー件数次第。月15件程度を下回る単独物件であれば、すでに清掃業務の一環として労力を負担できている場合、自前洗濯の方が安いことが多い。それを超える件数、あるいは機械の買い替えや保管スペースまで含めて考えると、外注の方が同等かそれ以上にコストが見合うことが多く、清掃スタッフの時間を確保できるという副次的なメリットもある。
Q: 一部のリネンだけ外注し、残りは自前で洗うことはできるか?
可能で、複数物件を運営する事業者にとってこのハイブリッド型は現実的な選択肢の一つだ。かさばって手間のかかるシーツや布団カバーを外注し、ハンドタオルやバスマットなどの小物は自前で洗って即日対応の柔軟性を保つ、という組み合わせが一般的だ。
Q: 日本のリネン業者の見積もりはどう比較すればよいか?
業者によって1枚単位、キログラム単位、月額固定制と課金方式が異なるため、実際の部屋あたりのリネン枚数を基準にターンオーバー1回あたりのコストへ換算して比較する。合計金額だけでなく内訳を必ず要求し、集荷・配送の有無、破損時の交換対応、特急料金の有無を比較前に確認すること。
コメント