為替手数料は民泊運営者の利益をどれだけ削っているか
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毎月、複数のOTAと直接予約用のStripeアカウントの入金を照合しているのですが、手数料を差し引いた後でも、ゲストが予約確認画面で見た金額より、実際に口座に振り込まれる金額のほうが少ないことに毎回気づきます。この差の正体は為替手数料で、手数料(コミッション)とは別物なのに、ほとんど話題にされません。
まとめ
- Airbnbでは、ゲストが異なる通貨で支払っても影響するのは主にゲスト側の表示価格とゲストサービス手数料であり、為替手数料が入金額から差し引かれるのは「掲載通貨」と「入金通貨」が異なる場合に限られる。Booking.comでは、為替レートや銀行・カード・仲介事業者の手数料により、支払額と入金額に差が生じることがあるため、実際の入金明細で照合する必要がある。
- ゲスト自身の銀行やカード発行会社が為替手数料や国際手数料をゲストに請求することがあるが、これはゲストのカード明細上のコストであり、運営者がカードを直接処理していない限り、運営者の入金額の損失とは限らない。
- 「手数料ゼロ」の直接予約も決済コストがゼロなわけではなく、StripeやPayPalなどの決済代行会社の手数料はサービスや国によって異なる(詳細は本文参照)。
- 予約確認画面に表示されるレートは実際に受け取るレートとは異なるため、掲載価格だけでは実際の手取り額は判断できないため、必ず入金明細を確認しましょう。
- 為替差損や決済手数料は日本で経費計上できる場合があるが、コミッション、決済手数料、銀行手数料、税金、返金、実際の為替差損益はそれぞれ入金明細・請求書・銀行記録に基づいて別々に記録する必要があり、予約総額からの見積もりだけでは不十分。
なぜOTAの入金額はゲストの支払額と一致しないのか?
ゲストが見る金額と運営者が受け取る金額が一致しない理由は、プラットフォームによって仕組みが異なるためです。Airbnbの場合、ゲストが自国通貨で支払っても、その影響は主にゲスト側の表示価格とAirbnbのゲストサービス手数料に及ぶものであり、運営者への入金には直接関係しません。為替手数料が入金額から差し引かれるのは、運営者の「掲載通貨」と「入金通貨」が異なる場合に限られます。一方Booking.comでは、為替レートや銀行・カード・仲介事業者の手数料により、ゲストが支払った金額と運営者が受け取る金額との間に差が生じることがあり、Booking.com自身の利用規約にもその旨が明記されています。だからこそ、差額を事前に予測しようとするより、実際の入金明細(予約合計額ではなく)で照合することが重要です。
これはプラットフォームが徴収するコミッションとは別の仕組みであり、プラットフォームや通貨の組み合わせによっては、コミッションの上にさらに重なることもあります。コミッション率が同じ2つの物件でも、掲載通貨・入金通貨・ゲストの支払い方法によって、実質的な手取り率が変わってくることがあります。
実際どれくらいのコストになるのか?
OTAの為替スプレッドは、コミッション率のように明確で比較可能な数字としては公表されていないため、正直なところ「物件による」としか言えず、推測するのではなく自分の入金明細から実際に測定する必要があります。直接予約用の決済代行会社のほうが手数料を公表している分、少なくとも目安にはなります。たとえばStripe Japanは国内カードで3.6%、為替換算が必要な場合はさらに+2%と公表しており、PayPal Japanは国内商用決済で3.60%+固定手数料、海外商用取引にはさらに+0.50%、加えて支払い・返金受け取り時の為替換算には+4.00%、残高・出金時の為替換算には+3.00%のマージンをそれぞれ公表しています。韓国、オーストラリア、東南アジアなど現地通貨で支払うゲストの比率が高い物件では、こうした数字だけでも、2つのOTAのコミッション率の違いよりも実質手取りへの影響が大きくなることがあります。以前書いたOTA手数料の比較記事を読んで「コストの全体像を把握した」と思っていた方は、この点も加味しておく価値があります。
直接予約なら安くなるのでは?
必ずしもそうとは限りません。直接予約であっても決済代行会社を経由するため、その手数料はサービスや国によって異なり、一律のパターンがあるわけではありません。Stripe Japanが公表しているのは、国内カードで3.6%、為替換算が必要な場合はさらに+2%というもので、日本の標準料金においてこれとは別に海外カード向けの追加手数料を公表しているわけではありません。一方PayPal Japanの公表料金は仕組みが異なり、国内商用決済は3.60%+固定手数料、海外商用取引にはさらに+0.50%、そこに為替換算マージンが加わります。「海外カードには決済代行会社が追加料金を取る」という一般論で判断せず、実際に利用している決済代行会社の公表料金を確認することが重要です。直接予約はOTAのコミッションと、Airbnbのようなプラットフォームであればその為替マージンも回避できるため、実質的な節約にはなりますが、「コミッションゼロ=タダ」というアピールをしてしまうと、代わりに発生する決済手数料を見落としがちです。実際の節約額は本物ですが、「手数料ゼロ」という言葉が示唆するほど大きくないのが実情です。
運営者はどうやってこの損失を最小限にできるか?
まず必要なのは、このコストを「見える化」することです。予約合計額ではなく実際の入金明細と照合し、プラットフォームごと・通貨ごとの実質手取り率を把握しましょう。複数物件を運営する中で実践している具体的な習慣は以下の通りです。
- 入金明細を毎月照合する(予約確認画面ではなく)— 両者の差額が実際の為替コストです。
- コミッションとは別の経費項目として記録する — こうすることで、プラットフォームや通貨ごとの実質コストを時系列で比較でき、すべてを「手数料」として一括りにせずに済みます。
- 合計額ではなく、費用区分ごとに証憑を残す — コミッション、決済手数料、銀行手数料、税金、返金、実際の為替差損益は、確定申告のためにそれぞれ別々に記録する必要があります。国税庁の見解では、外貨建ての収入・経費は所得税・法人税の規定に基づき円換算され、為替差損益は消費税の課税標準とは別に扱われるとされており、入金明細・請求書・銀行記録といった裏付け資料の保存が必要です。
- 入金明細・請求書・銀行記録は一箇所にまとめて検索できるようにしておく — レシート管理ツールを使っている場合は、入金明細を予約記録に紐づけておきましょう。
- コミッション率が同じでも手取りが同じとは限らないと心得る — ゲストの支払い通貨が特定の非円通貨に偏っている場合、そのプラットフォームの為替処理はコミッション率と同じくらい重要です。
これは外貨で支払うゲストを避けるべきという話ではありません。そうした需要自体は本物で価値があります。大切なのは、総額ではなく実質の手取り額をもとに予算とプライシングを組み立てることです。
本記事は情報提供を目的としたものであり、税務・法務上の助言を構成するものではありません。個別の状況については、専門家にご相談ください。
よくある質問
Q: Airbnbは為替換算に別途手数料を課しているのか?
一律の手数料というわけではありません。Airbnbの入金額は、宿泊料金にホスト側の手数料を加え、そこからホストサービス手数料(および共同ホストへの分配額)を差し引いたものです。為替換算手数料が入金額から差し引かれるのは、運営者の「掲載通貨」と「入金通貨」が異なる場合に限られます。ゲストが異なる通貨で支払っても、掲載通貨と入金通貨が一致していれば、影響するのは主にゲスト側の表示価格とAirbnbのゲストサービス手数料であり、運営者の入金額には直接関係しません。
Q: 為替差損は日本の税務上、経費として計上できるのか?
単純に「差額がそのまま経費」というわけではありません。コミッション、決済手数料、銀行手数料、税金、返金、実際の為替差損益は、予約総額と入金額の差の見積もりではなく、入金明細・請求書・銀行記録に基づいてそれぞれ別々に記録する必要があります。国税庁の見解では、外貨建ての収入・経費は所得税・法人税の規定に基づき円換算され、為替差損益は消費税の課税標準とは別に扱われるとされているため、入金明細だけに頼らず裏付け資料を保存しておきましょう。
Q: 小規模運営者はWiseのような多通貨口座を、通常の日本の銀行口座の代わりに使うべきか?
予約件数や通貨構成によります。非円建ての収益を直接受け取る割合が大きい運営者にとっては、多通貨口座が換算コストの削減につながる場合があります。ただしOTA経由の予約の場合、換算はプラットフォーム側で入金前にすでに行われていることが多いため、口座の種類を変えてもその部分のコストには影響しません。
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