秋になると、フリーランスの友人たちから毎年同じ質問が来ます。「今年もふるさと納税やる?」と。控除上限額の範囲内で利用すれば、経済的なメリットが出る場合がある制度です——ふるさと納税の対象として指定を受けた自治体に寄付をすると、返礼品(和牛や米、海産物など)がもらえることがあり、2,000円を超える部分が一定の上限内で所得税・住民税から控除されます。ただし、会社員として年末調整だけで済んでいた頃と違い、自分で確定申告をするようになると仕組みが少し変わります。

私は個人事業主として民泊・短期賃貸の事業を運営していますが、会社員だった頃に比べて月ごとの収入の振れ幅がかなり大きいです。この一点だけで、ふるさと納税の使い方が変わってきます——使うかどうかではなく、いつ、いくらやるかが変わるということです。

まとめ

  • ふるさと納税は、ふるさと納税の対象として指定を受けた自治体への寄附であり、返礼品がもらえる場合がある一方、2,000円を超える部分が一定の上限内で所得税・個人住民税から控除される制度です。
  • 確定申告をするフリーランス・個人事業主は「ワンストップ特例制度」が使えず、すべての寄付を確定申告書に記載する必要があります(ワンストップ特例申請では対応できません)。
  • 控除限度額はその年の課税所得の見込みによって決まりますが、フリーランスの場合は会社員より収入の予測が難しいです。
  • 限度額の範囲内であれば、寄付先の自治体数にかかわらず自己負担額は年間合計2,000円のままです。
  • 事業収入は月によって波があることが多いため、多くの個人事業主は年初ではなく第4四半期(10〜12月)に限度額を見積もる方が安全です。

ふるさと納税とはどのような制度か

ふるさと納税とは、ふるさと納税の対象として総務大臣の指定を受けた自治体への寄附であり、税金の前払いや納税そのものではありません。寄付先の自治体が返礼品を送る場合、返礼割合(返礼品の調達に係る費用の割合)は3割以下で、地場産品であることが指定基準となっています(地元の和牛、米、海産物、家電など)。ただし、実際の消費者価値が保証されているわけではありません。寄付額のうち2,000円を超える部分は、一定の上限内で所得税の控除(還付)と翌年度の住民税の控除という形で戻ってきます。控除の上限額は所得や家族構成によって異なり、その範囲内であれば自己負担は年間2,000円のみです。なお、受け取った返礼品自体は一時所得として扱われる場合があり、他の一時所得と合わせた金額が必要経費を差し引いた上で年間50万円の特別控除額を超えると、課税対象になることがあります。寄付前には、寄付先の自治体がふるさと納税の対象として現在指定を受けているか、ポータルサイト等で確認することをおすすめします。

なぜフリーランスはワンストップ特例が使えないのか

フリーランス・個人事業主がワンストップ特例を使えないのは、確定申告が必要な人はすべての寄付を確定申告書に記載しなければならないというルールがあるためです。ワンストップ特例制度は、もともと確定申告をしない給与所得者向けに作られた仕組みで、年間5自治体以下への寄付であれば、確定申告なしで控除が受けられます(同一自治体への複数回の寄付は1自治体としてカウントされますが、寄付ごとに申請書の提出が必要です)。しかし、事業所得があるために確定申告をする人は、たとえ寄付先が1自治体だけであっても、このワンストップ特例の対象外です。すべての寄付金受領証明書を確定申告書に記載する必要があり、控除は所得税の還付と翌年度の住民税の減額という2つの形に分かれて反映されるため、ワンストップの場合のようにシンプルな一本の数字にはなりません。

これはフリーランスに対する不利な扱いというわけではなく、単に二つの制度の設計上の違いです。ただし実務上は、事業の経費と同じように寄付金受領証明書をきちんと保管しておく必要があり、書類管理の手間は少し増えます。確定申告では、寄付ごとの受領証明書を保管する代わりに、対象のポータル運営事業者が発行する年間の寄附金控除に関する証明書を利用できる場合もあります。

個人事業主として控除限度額をどう計算すればよいか

控除限度額は、経費や各種控除を差し引いた後のその年の課税所得の見込みから計算されますが、給与が固定されている会社員に比べて、フリーランスにとってはこの見込みを立てるのが難しくなります。一般的な計算式では、住民税の課税標準額や所得税の限界税率、扶養家族の有無などをもとに限度額を算出します。会社員であれば1月の時点で年収がほぼ確定していますが、民泊・短期賃貸事業のように稼働率や季節変動、OTAからの入金タイミングに左右される個人事業主の場合、実際の年間課税所得が確定するのは12月に近づいてからということも珍しくありません。

実務上のリスクは「見込み過剰」です。第4四半期の稼働が好調だと見込んで寄付をしたのに、実際には冬場の稼働が伸び悩んで課税所得が予想より低かった場合、限度額を超えた寄付をしてしまったことになります。超過分は控除が十分に適用されないため、その部分については自己負担額が2,000円を超えることになります。返礼品は受け取れますが、上限を超えた部分については税控除のメリットの多くを失うことになります。

フリーランスはいつ寄付をするべきか

多くの個人事業主は、その年の帳簿がほぼ確定に近づく第4四半期まで待ってから、ふるさと納税の寄付を確定させるべきです。11月から12月上旬になれば、4月時点よりもはるかに正確な年間売上・経費・減価償却の見通しが立てられます。主要なふるさと納税サイトには、前年の確定申告の数字をもとにしたシミュレーターが用意されていますが、今年の収入が前年と大きく異なる場合は、あくまで目安として扱うべきです。私自身が実践しているやり方は、確定申告用に使っている経費記録を使って年間を通じて課税所得の見込みを更新し続け、その数字に確信が持てた段階で寄付を確定させ、計算上の限度額ぎりぎりではなく、少し余裕を持たせて寄付することです。

よくある質問

Q: ふるさと納税は事業所得を減らす効果がありますか?

いいえ。事業所得を減らしたり、経費として計上されたりするものではありません。事業の損益とは別に計算される、所得税・住民税に対する個人の寄付金控除です。

Q: 確定申告をしていても返礼品はもらえますか?

はい。返礼品の受け取り方自体は、会社員でも個人事業主でも変わりません。違うのは税控除の処理方法で、ワンストップ特例申請ではなく確定申告を通じて行う点です。

Q: 計算した限度額を超えて寄付してしまったらどうなりますか?

限度額を超えて寄付した場合、超過分は控除によって十分には相殺されないため、その部分については自己負担額が2,000円を超えます。法定の上限の範囲内で、所得税の寄付金控除や住民税の基本控除(基本分)が超過分の一部に適用される場合はありますが、住民税の特例控除(特例分)は住民税所得割額の20%が上限となっているため、それを超える部分は実質的に一部割引価格での購入に近い形になります。

本記事は情報提供のみを目的としており、法律・税務上の助言を構成するものではありません。個別の状況については、資格を持つ専門家にご相談ください。