民泊の運営、住宅宿泊管理業者への委託が必要なケースとは
目次
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)のもとで物件を届出しているなら、実はすべてを自分だけで運営できるとは限らないことをご存じでしょうか。宿泊者の滞在中に自分が物件にいるかどうか、そして貸し出している部屋数によっては、法律上、日常の運営を「住宅宿泊管理業者」という登録済みの第三者に委託しなければならないケースがあります。
これは新規ホスト、特に海外にいるオーナーがつまずきやすいポイントです。「コーホスト(共同運営者)を雇えば要件を満たす」と思われがちですが、そのコーホストが国に登録された事業者でない限り、法律上の要件は満たせません。ここでは、このルールの実際の内容と、どのような場合に適用されるかを説明します。
まとめ
- 住宅宿泊事業法では、宿泊者の滞在中に不在となるホスト(一時的な不在や一定の例外要件を満たす場合を除く)、または届出住宅の居室の数が5を超える場合(6室以上)に該当するホストは、運営を登録済みの住宅宿泊管理業者に委託する義務がある。単なる非公式なコーホストでは要件を満たさない。
- 管理業者の登録は、物件そのものの届出(都道府県・保健所経由)とは別に、国土交通省を通じて全国レベルで行われる。
- 登録管理業者は、住宅宿泊管理業を適切に遂行できる体制(法令順守の能力や、苦情対応・遠隔対応を含む業務体制)を備えていることが登録の要件となっており、ゲストの安全確保、苦情対応、必要な情報提供について法的責任を負う。単なる予約カレンダー管理サービスではない。
- 海外オーナーは、宿泊者の滞在中に物件に不在となることがほとんどのため、多くの場合この委託義務の対象となる。
- 管理業務の報酬体系は業者によって異なるため、契約前に報酬額・支払の時期や方法・別途発生する費用・責任やその免除に関する事項・契約期間や更新・解約条件を書面で確認すべき。
住宅宿泊管理業者とは何か
住宅宿泊管理業者とは、国土交通大臣の登録を受け、ホストに代わって民泊物件を運営することが認められた事業者(法人または個人)です。登録の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局等に対して行います。これは物件の届出そのものとは別の法的区分です。住宅宿泊事業法に基づく物件の届出は都道府県や保健所を通じて行いますが、管理業者の登録は国土交通省が管轄する全国制度であり、これによって所有していない物件の運営責任を第三者が合法的に引き受けることができます。
これは、海外オーナー向けに以前紹介した「コーホスト」の仕組みとは異なります。非公式なコーホストはメッセージ対応や清掃調整を手伝うことはできますが、住宅宿泊事業法が求める「運営委託」の要件を法的に満たせるのは、登録済みの管理業者だけです。
どのような場合に委託が必要になるのか
宿泊者の滞在中に物件に不在となる場合(一時的な不在を除く)、または届出住宅の居室の数が5を超える場合(6室以上)は、登録管理業者への委託が必要です。住宅宿泊事業法は基本的に「ホストが宿泊者の滞在中に物件におり、自ら運営を行う」ことを前提としています。チェックイン対応、安全・衛生管理、苦情対応、法律で定められたゲストへの情報提供(避難経路、騒音ルール、近隣への配慮など)がこれにあたります。この前提が現実的に成り立たない場合、法律はこれらの業務を非公式にではなく、登録事業者への委託という形で行うことを義務付けています。
代表的な要件発生パターンは次の2つです。
- 宿泊者の滞在中に不在となる場合。 一時的な不在は対象外ですが、それ以外は原則として委託が必要です。ただし、ホストの活動拠点が物件と同一の建物・敷地内、またはこれに隣接する場所にあり、迷惑行為などの影響を認識して対応できる状態にあって、自ら管理する居室数が5以下であれば、例外として自主管理が認められます。また、ホスト自身が登録住宅宿泊管理業者である場合も自主管理が可能です。多くの海外オーナーはこの要件に該当しますが、国内在住でも別の場所に住み、滞在中は現地にいないホストにも当てはまります。
- 届出住宅の居室の数が5を超える場合(6室以上)。 宿泊者の滞在中に物件にいるホストであっても、居室数がこの基準を超えると登録管理業者への委託が必要になります。
どちらにも該当しない場合、つまり宿泊者の滞在中に物件にいる(または上記の例外要件を満たす)ホストが、5部屋以下を自分で貸し出している場合は、登録業者を使わずに自主運営できます。
登録管理業者をどう見極めればよいか
登録管理業者を見極める方法は、他の登録制の専門家を確認するのと同じで、口頭の説明を鵜呑みにせず登録内容を確認することです。国土交通省は登録済み住宅宿泊管理業者の一覧を公開しており、正規の事業者であれば登録番号を提示することに躊躇しません。登録にあたっては、住宅宿泊管理業を適切に遂行できる体制(法令順守の能力や、苦情対応・遠隔対応を含む業務体制)を備えていることも求められます。申請者の種別に応じて、登録実務講習の修了、住宅の取引・管理に関する2年以上の実務経験、宅地建物取引士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士証明などの資格保有、有資格の従業員の配置、または法人としての登録要件充足のいずれかによって示されるため、事業者がどの方法でこれを満たしているか尋ねてみるとよいでしょう。
登録確認に加えて、通常の業者契約と同様に扱うべきです。業務範囲(ゲスト対応、清掃調整、苦情対応、トラブル発生時の対応)を書面で取り決め、ゲストに何か問題が起きた場合の責任の所在を明確にしましょう。報酬体系は業者によって異なるため、契約前に報酬額・支払の時期や方法・別途発生する費用・責任やその免除に関する事項・契約期間や更新・解約条件を書面で確認してください。これらは、国土交通省の指針で契約前交付書面・契約書面への記載が求められている事項です。
海外オーナーの場合、登録管理業者との管理受託契約により、日常運営と法定の委託要件の双方を満たせる可能性があります。運営開始前に登録番号と契約範囲を確認してください。また、物件のある地域の都道府県条例も確認することをおすすめします——全国法規に上乗せして、地域固有の運営制限が設けられている場合があります。
よくある質問
Q: 友人や非公式なコーホストに民泊の運営を任せることはできますか?
法律上、委託が義務付けられている場合はできません。宿泊者の滞在中に不在となる場合(一時的な不在や上記の例外要件を満たす場合を除く)、または届出住宅の居室の数が5を超える場合(6室以上)、住宅宿泊事業法は登録済みの住宅宿泊管理業者への委託を明確に求めています。その人がどれだけ有能であっても、登録されていない非公式な取り決めでは要件を満たせません。
Q: 管理業者の登録は、民泊物件の届出と同じものですか?
いいえ、異なります。物件の届出(住宅宿泊事業の届出)は都道府県や保健所に対して行い、物件そのものを登録するものです。一方、管理業者の登録(住宅宿泊管理業者登録)は国土交通大臣による別の全国登録制度で、ホストに代わって物件を運営することを認めるものです。
Q: 委託が義務付けられているのに登録業者を使わなかった場合、どうなりますか?
必要な委託(法第11条の委託義務)を行わずに運営を続けると、法第75条に基づき50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。また、法令違反や業務に関する行政処分に該当する違反があった場合、都道府県知事は法第16条に基づき1年以内の業務停止命令、または業務廃止命令を行うことができます。執行の運用や具体的な取り扱いはケースによって異なるため、運営を始める前に必ず所轄の行政窓口または専門家に確認してください。
本記事は情報提供のみを目的としており、法律または税務に関する助言を構成するものではありません。個別の状況については、必ず専門家にご相談ください。
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