施設情報に基づいて答えるAIコンシェルジュを宿泊施設向けに作った理由と、向いていないケース
目次
最初にお断りしておくと、今回は自社プロダクト「BenStay AIコンシェルジュ」の紹介です。ただ、前半は課題そのものの話をします。私たちのツールを使わない方にも役立つ内容にしたいと思っています。
課題はシンプルです。夜11時に成田に着いたゲストのスマホは、バッテリー残り4%。知りたいのは建物への入り方です。チケット番号も「24時間以内に返信します」もいりません。必要なのはドアの暗証番号と、駅のどの出口から出ればいいか。それを自分の読める言語で知りたいのです。
まとめ
- 私たちの運営では、繰り返し届く質問は、チェックイン方法、アクセス、荷物預かり、ハウスルール、設備の使い方という、いくつかの決まったカテゴリーに集まる傾向があります。
- 答えは施設ごとに違いますが、ほとんど変わりません。そのため、施設の情報をもとに答える仕組みなら、自動化に向いています。
- 人の対応が必要な質問として残るのは、主に予約変更と返金です。
- BenStay AIコンシェルジュは、施設ごとの専用ページとして提供するチャットボットです。登録された施設情報を優先して、ゲストの質問に24時間・多言語で答えます。
- 担当するのは、情報を伝えれば済む繰り返しの質問です。予約やお金を扱う人の代わりにはなりません。
ゲストは実際に何を聞いてくるのか?
私たちの運営では、宿泊前から滞在中にかけて繰り返し届く質問は、主に5つのカテゴリーに集まる傾向があります。
- 入り方:チェックイン手順、ドアの暗証番号、チェックイン時刻より早く着いたときの対応
- 行き方:最寄り駅や空港からのアクセス
- 荷物:チェックイン前やチェックアウト後の荷物の置き場所
- ハウスルール:ゴミの分別、静かにすべき時間帯、靴を脱ぐこと
- 設備の使い方:Wi-Fi、洗濯機、日本語表記しかないエアコンのリモコン
同じ質問が、言語と時間帯を変えて何度も届きます。答えは施設ごとに違いますが、同じ施設ならほとんど変わりません。たとえばゴミの収集日はたいてい決まった周期ですが、年末年始などの変更や、建物独自・民間回収のルールもあるので、情報は更新しておく必要があります。
なぜ小規模な運営者にとって負担が大きいのか?
大変なのは質問の中身ではなく、届く時間帯と言語です。数件の物件を自分で回していると、望んだわけでもないのに24時間待機の状態になります。ソウル、リヨン、ホーチミンから来たゲストが、同じ週にそれぞれゴミ出しのルールを聞いてくることもあります。1件の返信は30秒で済みますが、そのたびに作業が中断される。それが積み重なります。
特別なツールなしでできる対策は?
手元にあるもので、かなりの部分は減らせます。チャットボットを使うかどうかに関係なく、おすすめしたい対策です。
- ハウスマニュアルをきちんと作る。 上の5カテゴリーをはっきり書き、入口、キーボックス、ゴミ置き場の写真を付けます。チャットボットの精度はこの文書でほぼ決まるので、作って損はありません。
- 聞かれる前に送る。 チェックイン手順と駅からの行き方を到着前メッセージで送っておけば、急ぎの質問をかなり減らせます。
- 定型文を用意する。 多くのメッセージツールにはテンプレート機能があります。カテゴリーごとに1つ、よく来るゲストの言語で用意しておきましょう。
- 現地にも表示する。 エアコンのリモコンの横にラミネートしたカードを置いておけば、質問が送られる前に解決します。
これだけでも効果は大きいです。ただ、マニュアルを読まないゲスト、少し違う言い回しの質問、深夜3時のメッセージには対応しきれません。この残りの部分が、私たちが自分たちでツールを作った理由です。
BenStay AIコンシェルジュとは?
BenStay AIコンシェルジュは、施設ごとの専用ページとして提供する宿泊施設向けのAIコンシェルジュです。登録された施設情報を優先して、ゲストの質問に24時間・多言語で答えるチャットボットです。
私が特に大事にしている点が3つあります。
施設の情報に基づく。 コンシェルジュは、自施設のチェックイン手順、ゴミ出しルール、Wi-Fiといった情報に基づいて回答します。登録された施設情報を優先して回答し、確実に答えられない質問はスタッフ対応に回す設計です。ここが一番のこだわりです。間違ったドアの開け方を自信満々に答える汎用チャットボットなら、ないほうがましです。施設の情報に基づいているからこそ、変わらない施設固有の答えを自動化しても大丈夫だと言えます。
施設ごとの専用ページ。 施設ごとに専用のコンシェルジュページを用意し、その施設の情報を設定します。ゲストは汎用のチャットボットではなく、実際に泊まる施設について質問できます。
24時間・多言語。 夜11時に成田に着いたゲストは、夜11時のうちに、自分の言語で答えを受け取れます。定型文やマニュアルだけでは埋められない部分です。
向いているケースと、向いていないケースは?
一番向いているのは、ゲストからのメッセージの大半が先ほどの「情報を伝えれば済む質問」で、答えは分かっているのに毎回打つのに疲れている場合です。
逆に、向いていない、あるいはこれだけでは足りないケースもあります。
- 予約変更と返金。 私たちの運営でも、人の対応が必要になるのは主にこの種類の質問でした。私はそれで正しいと考えています。判断が必要で、お金やプラットフォームの規約も関わります。責任を持つ人を必ず置いてください。
- 施設情報がまだ文書になっていない場合。 施設情報に基づいて答える仕組みなので、元になる情報が薄ければ答えも薄くなります。ハウスマニュアルがまだないなら、まずはそこからです。先ほどの「特別なツールなしでできる対策」が本当の第一歩です。
- すべてのやり取りを自分の言葉で行いたい運営者。 ゲストとの会話そのものをおもてなしの一部と考えるホストもいます。それも一つの選択で、その場合は自動化が合わないかもしれません。
正直なところ、このコンシェルジュの役割は予測できる質問を引き受けることです。そうすれば、あなたや共同ホスト、清掃チームのリーダーといった人たちが、本当に人の対応が必要なメッセージに時間を使えます。
よくある質問
Q: AIコンシェルジュが施設について事実と違う答えを作ってしまうことはありますか?
コンシェルジュは、登録された施設情報を優先して回答し、確実に答えられない質問はスタッフ対応に回す設計です。だからこそ、登録する情報の質と網羅性がとても重要です。
Q: 返金や予約変更にも対応できますか?
予約変更と返金は人が対応することをおすすめします。私たちの経験では、判断が必要になるのはこれらの質問で、自動化に向く質問の主な例外です。
Q: ゲストにBenStayの名前は表示されますか?
施設ごとに、その施設の情報をもとにした専用のコンシェルジュページを用意します。ゲストへの表示のされ方の詳細は、製品ページをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
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