JNTOの訪日客データから2026年の料金カレンダーを作る方法
目次
日本で民泊やゲストハウスを運営しているオーナーの多くは、「感覚」で料金を決めています。ゴールデンウィークは上げる、2月は下げる、あとはAirbnbのスマートプライシングに任せておく——。それなりに機能しますが、需要の山を見逃していたり、落とさなくていい時期に大きく値下げしていたりすることが必ずあります。
もっとデータに基づいたアプローチがあります。その出発点がJNTOの公開データです。
まとめ
- 日本のインバウンド需要は「誰もが知っているピーク」だけでなく、5つの異なる需要ウィンドウに分かれている。
- JNTOは国・地域別の月次入国者数を公開しており、それをもとに実用的な料金カレンダーが作れる。
- 最も値段を低く設定しがちな時期は10〜11月の紅葉シーズン;最も割引しすぎているのは6月の梅雨。
- どの出発市場が各時期の需要を牽引しているかを知ることで、料金だけでなくリスティングの見せ方も変わる。
- 5段階の料金カレンダーを四半期ごとに見直すだけで、多くの小規模運営者の収益は改善できる。
なぜ感覚よりJNTOデータが優れているのか?
JNTO(日本政府観光局)は毎月、国・地域別の訪日客数データを公開しています。多くの運営者は「インバウンド前年比XX%増」という見出しを流し読みして終わりにします。市場を上回るパフォーマンスを出している運営者は、月次データの詳細を掘り下げています。
詳細データが示す重要な事実があります。国籍によって需要のピーク時期がまったく異なるということです。韓国人旅行者は連休を前後につなげた長期休暇に集中します。中国人旅行者は中国の祝日に合わせて動きます。欧米からの長距離旅行者は3〜6ヶ月前に計画を立て、春と秋に集中します。自分のゲストの国籍傾向を把握していれば、全国平均ではなく「その市場のリズム」に合わせた料金設定ができます。
2026年の5つの需要ウィンドウとは?
過去4年間のJNTOデータに基づくと、日本のインバウンドカレンダーは5つの明確な需要ウィンドウに分かれます。
1. 桜シーズン(3月中旬〜4月中旬)。 韓国・台湾・香港など東アジア近隣国と、計画性の高い長距離旅行者の需要が急増します。このウィンドウは非常に短く、多くの場合3〜4週間で、天候にも左右されます。2026年の東京の見頃は3月下旬でした。4月中旬現在は末期にあたります。来年への教訓:開花予報が出てからではなく、1月から料金を引き上げ始めること。
2. ゴールデンウィーク(4月29日〜5月6日)。 年間最大の国内旅行シーズンであり、外国人旅行者も多く動く時期です。この時期に料金を上げることは誰でも知っています。多くの運営者が見逃しているのは、前後の肩の日程(4月27〜28日、5月7〜10日)です。希望のGW日程を予約できなかった旅行者が前後にシフトするため、これらの日も需要は通常の平日より高めです。
3. 夏(7〜8月)。 インバウンドはこの時期も増えますが、ADR(平均客室単価)の向上は一様ではありません。8月は米国・英国・オーストラリアからの旅行者が多くなります。国内旅行との競合も増える時期です。需要は確かに高いですが、冷房や清掃の回転にかかるコストも増えます。料金を上げるだけでなく、利益率の管理も忘れずに。
4. 紅葉シーズン(10〜11月)。 多くの小規模運営者が最も値段を低く設定している時期です。紅葉シーズンの需要はJNTOデータ上、桜シーズンに匹敵します。しかも期間が長く(6〜8週間対3〜4週間)、東アジア近隣国と欧米長距離旅行者が混在します。需要が広域に分散するのも特徴で、京都・日光・東北・北海道がいずれも需要増を示します。10〜11月の料金が桜シーズンを下回っているなら、その設定を見直す価値があります。
5. 年末年始(12月28日〜1月3日)。 短くて急峻な需要スパイクです。「憧れの日本旅行」として来日する旅行者が多く、ADRは高めに設定できます。3〜5泊の最低宿泊数を設定することで、大晦日前後の短期予約による収益機会の損失を防げます。
多くの運営者が誤って設定している時期はどこか?
6月(梅雨): 多くの運営者が大幅に値下げします。ある程度の調整は適切ですが、気候変動で梅雨は短く予測困難になっており、晴れが続けば需要はすぐ戻ります。パニック値下げより、T3料金から15〜20%程度の控えめな割引にとどめる方が賢明です。
9月: 2026年のシルバーウィークは9月19〜23日の5連休です。この日程の料金をまだ上げていなければ今すぐ対応してください。シルバーウィーク以外の9月上旬は確かに需要が軟調ですが、9月下旬は紅葉シーズンに向けて需要が戻り始めます。長距離旅行者が10月に向けて動き出す時期です。
2月: 谷の時期です。受け入れましょう。7泊以上の長期割引を設定して、清掃ターンオーバーを減らしながら稼働率を維持するのが現実的な対応です。ADRを極端に下げる必要はありません。
5段階の料金カレンダーはどう作ればよいか?
BenStayで実際に使っている枠組みを共有します。5段階の料金ティアを四半期ごとに見直すだけです。所要時間は約90分で、明らかな収益の取りこぼしを防ぐことができます。
| ティア | 対象時期 | ベース料金比 |
|---|---|---|
| T1 — スパイク | GW・年末年始・シルバーWK | +60〜80% |
| T2 — ピーク | 桜シーズン・10〜11月紅葉 | +35〜50% |
| T3 — 高め | 7〜8月・主要長期連休 | +15〜25% |
| T4 — ベース | 平日・春の肩の時期 | 0% |
| T5 — 低め | 梅雨・2月・1月閑散期 | −15〜20% |
T1時期には最低宿泊数(3〜5泊)を設定してください。T5時期の稼働率が目標を下回っている場合は、チェックイン72時間前からの自動直前割引を活用しましょう。手動対応より自動化の方が抜け漏れがありません。
出発市場データを加えるとどう変わるか?
予約者の国籍傾向を把握したら(OTAのダッシュボードで確認できます)、JNTOの市場別データを重ね合わせてみてください。韓国人ゲストが予約の40%を占めているなら、中国の旧正月よりも韓国の추석(チュソク)や韓国の祝日連休の方があなたの料金設定に影響します。東南アジア(ベトナム・タイ・インドネシア)の訪日客もJNTOデータで増加傾向にあり、多世代ファミリー層など異なるニーズを持つ旅行者が増えています。全国平均ではなく、自分のゲストの実際の構成に合わせて調整してください。
BenStayでは四半期ごとにJNTOの月次最新データを確認しながら料金ティアを見直しています。ダイナミックプライシングの自動化とも組み合わせていますが、手動で設定したカレンダーがアンカーとなることで、アルゴリズムが薄いデータしかない特殊な需要ウィンドウで不自然な動きをするのを防いでいます。
よくある質問
Q:JNTOの月次データはどこで確認できますか?
JNTOは月次訪日外客統計をstatistics.jnto.go.jpで公開しています。月次プレスリリースには総数と上位市場をまとめたPDFがあります。詳細データは国・地域別の数値を含むExcelファイルとしてダウンロードでき、過去数年分のデータも取得できます。
Q:T1・T2の料金ティアはどれくらい前から設定すればよいですか?
T1・T2のウィンドウは少なくとも90日前までに設定してください。桜シーズンとゴールデンウィークはさらに早めが理想です。欧米からの長距離旅行者は3〜6ヶ月前に予約します。料金が設定される前に検索されると、需要が顕在化する前に機会を逃すことになります。
Q:この方法は1物件でも有効ですか?
1物件でも十分効果があります。この5段階カレンダーの考え方は、BenStayが1物件しか運営していなかった時代に作ったものです。1物件でも20物件でも基本的なロジックは同じで、違いは調整にかかる時間だけです。1物件であれば四半期ごとの見直しは30分程度で完了します。
本記事は情報提供を目的としており、法律・税務上のアドバイスを構成するものではありません。具体的な状況については、専門家にご相談ください。
コメント