確定申告前に溜まった領収書を片付ける:Reshitoを作った理由
目次
10月も半ばになりました。日本でフリーランスや個人事業主をしている方なら、どこかに領収書の山があるのではないでしょうか。封筒、引き出し、トートバッグ。1月から少しずつ増えてきたものです。確定申告まではまだ数か月あるので、今はそれほど焦りを感じないかもしれません。でも2月になると、状況は一気に変わります。
今回は、私たちベンステイ合同会社が作ったAI領収書スキャナー「Reshito」の紹介記事です。ただ前半は、どのツールを使うかに関係なく、溜まった領収書をどう片付けるかを書きます。大事なのはソフトよりもやり方だからです。
まとめ
- 溜まった領収書の処理は、結局のところデータ入力の問題です。1枚ごとに日付・支払先・金額・税区分を記録して、初めて申告に使える形になります。
- 2023年10月に始まったインボイス制度のもとでは、一般課税の事業者が仕入税額控除を受けるには、原則として一定の帳簿と、要件を満たす請求書等の保存が必要です。発行者の登録番号は、その請求書等に必要な記載事項の一つです。登録を受けていない事業者からの仕入れでも、経過措置により一定割合を控除できます(2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%)。また、2029年9月30日までは、一定の事業者による税込1万円未満の課税仕入れに少額特例があります。
- 電子帳簿保存法では、電子で受け取った領収書は原則として電子データのまま保存する必要があります。ただし検索要件には免除があります。たとえば基準期間の売上高が5,000万円以下の事業者は、税務職員の求めに応じてデータをダウンロードで提供できれば、検索要件が不要になります。
- 青色申告の帳簿書類は原則7年の保存が必要ですが、一部の書類は保存期間が5年です。整理の方針として、すべてを7年保存しておくのは慎重なやり方です。今作る仕組みは、数年後でも使えるものにしておきましょう。
- Reshitoでは領収書を撮影するだけで、AIが日付・支払先・金額・税率を読み取り、経費を分類します。
なぜ溜まった領収書の処理はこんなにつらいのか?
1枚ごとに同じ4〜5項目を手で拾い出す必要があり、しかも日本の領収書は形式がばらばらだからです。コンビニの感熱紙レシート、小さなお店の手書きの領収書、何十行もあるホームセンターのレシート、オンラインサービスのPDF。日付も店名も合計額も税率の内訳も、書かれている場所がそれぞれ違います。
1枚なら簡単です。でも2月に300枚を一気に処理するのは苦行で、そういうときにミスが起きます。数字の打ち間違い、入力漏れ、8%の品目を10%で計上してしまう、といったものです。
さらに制度の要件もあります。インボイス制度では、一般課税の事業者が仕入税額控除を全額受けるには、原則として一定の帳簿と、要件を満たす請求書等の保存が必要で、登録番号はその記載事項の一つです。登録を受けていない事業者からの仕入れでも経過措置の対象になり得ますし、少額特例が使える取引もあります。電子帳簿保存法では、メールで届いたPDFのように電子で受け取った領収書は、原則として電子データのまま保存する必要があります。印刷して紙で綴じておいても代わりにはなりません。通常は改ざん防止の措置も必要です。たとえば、訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めてそれに沿って運用すること、そしてデータを画面に表示したり出力したりできるようにしておくことです。検索要件が必要かどうかは、売上高などの状況によって変わります。
紙の領収書は扱いが別です。スキャンや撮影したデータで紙の原本の保存に代えられるのは、スキャナ保存の要件をすべて満たした場合だけです。要件には、画像の品質(領収書なら200dpi相当以上・24ビットカラー)、訂正・削除への対応、帳簿との相互関連性、検索機能、見読可能な出力が含まれます。タイムスタンプも要件の一つですが、決められた期間内に保存したことを確認できる方法であれば、タイムスタンプの代わりになります。通常の領収書は、受け取ってからおおむね7営業日以内に入力するか、業務の処理サイクルを定めている場合はその期間(最長2か月)が経過した後おおむね7営業日以内に入力する必要があります。
つまり本当にやるべきことは、領収書の山を空にすることではなく、整理された一貫性のある帳簿を作ることです。
特別なツールなしで片付けるには?
作業を小分けにして、どの領収書にも同じ項目を記録することです。スプレッドシートだけでできる方法を紹介します。
- まず月ごとに分ける。 入力はまだしません。12の山に分けるだけです。作業量が見えるようになり、区切りもつけやすくなります。
- 列を固定する。 日付、支払先、金額、税区分、登録番号の記載の有無、勘定科目、保存した画像のリンクかファイル名。税区分には、課税8%・課税10%・非課税・不課税(対象外)を必要に応じて選べるようにします。たとえば保険料は、8%でも10%でもなく、原則として非課税です。税率が混在する領収書は、同じ領収書に紐づけたうえで、税率ごとに行を分けるか、税率別に金額・税額の列を設けて記録します。この列を1年を通して変えないことが大切です。
- 入力するたびに撮影・保存し、紙の原本も残す。 ファイル名は日付と支払先にしておくと、後から探しやすくなります。溜まった領収書を入力用に撮影するのは問題ありませんが、原本は保管しておきましょう。これらはスキャナ保存を始める前に受け取った領収書です。電子データで原本に代えるには、事前に「過去分重要書類」のスキャナ保存に関する届出書を提出し、該当する要件を満たす必要があります。
- 電子で受け取ったものは分けておく。 メールの請求書やPDFの領収書は、原則として電子のまま保存します。1つのフォルダにまとめ、元のファイルの代わりに印刷したもので済ませないようにしましょう。あわせて、訂正・削除を防ぐ簡単な事務処理規程を作り、それに沿って運用します。
- 1回に1か月分だけ。 1晩30枚なら無理なく続けられます。300枚を週末にまとめて処理するのは負担が大きくなります。
- 迷うものは推測せず印をつける。 登録番号のない領収書や、8%と10%が混ざっていて内訳を分けられない合計額などです。印をつけたものはまとめて税理士に相談しましょう。
1回30枚なら、300枚の山は10回で終わります。その10回を12月までの予定に組み込み、新しく届く領収書も並行して処理していきましょう。
何を作ったのか、どう動くのか?
Reshitoは、日本のフリーランス・個人事業主向けのAI領収書スキャナーです。領収書を撮影すると、AIが日付・支払先・金額・税率を読み取り、経費を分類します。確定申告にもインボイス制度への対応にも使える、整理されたデータになります。
作った理由は、上の手順2と3、つまり項目の入力と画像の保存に一番時間がかかるからです。私たちの民泊運営でも、清掃用品、リネンの買い替え、ちょっとした修繕、物件への交通費など、領収書は途切れずに出てきます。分けるのは難しくありません。大変なのは入力でした。AIで手入力を減らせますが、短縮できる時間は画像の品質や修正量によって異なります。
Reshitoを使っても、上の小分けのやり方はそのまま使えます。月ごとに分けて、少しずつ進めるのは同じです。ただ1枚あたりの作業が「読んで、打ち込んで、見直して、ファイル名を付ける」から「撮影して、結果を確認する」に変わります。なお、AIで読み取っただけでは、法令に沿った保存にはなりません。上で説明したスキャナ保存や電子取引データ保存の要件は、引き続き満たす必要があります。
Reshitoが向いている人・向いていない人は?
紙の領収書や形式がばらばらの領収書が日常的に出てきて、入力作業の手間を減らしたいフリーランス・個人事業主に一番向いています。いろいろなお店のくしゃくしゃのレシートが山の大半を占めているなら、まさに私たちが想定したケースです。
正直に言うと、次のような場合はあまり役に立ちません。
- 領収書が年に数枚しかない方。 スプレッドシートに月10分で十分です。
- 経費のほとんどがカードや銀行の取引で、会計ソフトがすでに取り込んでいる方。 会計ソフトがすでに支払データを取り込んでいるなら、手入力は少なくて済むかもしれません。それでも、取り込んだ内容の照合と、必要な証憑の保存は欠かせません。なお、カード会社の利用明細は、例外に当たる場合を除き、原則としてそれ自体は仕入税額控除のための請求書等になりません。
- 判断を任せたい方。 その支出を必要経費に算入できるか、家事按分をどうするか、登録番号のない領収書をどう扱うかは、ご自身と税理士が判断することです。Reshitoは経費を分類しますが、専門家の助言の代わりにはなりません。
また、AIが読み取った結果は必ず確認してください。特に薄れた感熱紙や手書きの領収書は要注意です。帳簿と申告に責任を持つのはご自身です。
心当たりのある方は、reshito.jp から試してみてください。
よくある質問
Q: 確定申告に向けて、領収書の整理はいつから始めるべきですか?
できるだけ早く、できれば秋から始めましょう。1回30枚なら、300枚の山は10回で片付きます。10月から予定を組み、新しい領収書も並行して処理すれば、申告時期の前に、迷う項目を税理士に相談する時間も確保できます。
Q: 紙の領収書は、原本を保管せず撮影だけで済ませられますか?
撮影したデータで紙の原本に代えられるのは、スキャナ保存の要件をすべて満たした場合だけです。満たしていない場合は、紙の原本を保管してください。要件には、画像の品質(領収書なら200dpi相当以上・24ビットカラー)、訂正・削除への対応、帳簿との相互関連性、検索機能、見読可能な出力が含まれます。タイムスタンプ、または決められた期間内に保存したことを確認できる方法も必要です。スキャナ保存を始める前に受け取った領収書は、さらに過去分重要書類の事前届出が必要です。電子で受け取った領収書は、原則として電子のまま保存します。AIで読み取っただけでは要件を満たしたことにならないので、詳しくは税の専門家に確認してください。
Q: Reshitoは、その支出を必要経費に算入できるかどうかを判断してくれますか?
いいえ。Reshitoは日付・支払先・金額・税率を読み取り、経費を分類します。個々の支出を必要経費に算入できるか、必要経費に算入できる金額がいくらかは、ご自身と税理士が判断することです。
本記事は情報提供のみを目的としたものであり、法律・税務上の助言ではありません。具体的な状況については、資格を持つ専門家にご相談ください。
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